Hello World from the Vineyard

どこかのだれかの副音声

La Ta-Tas

このことは書き残したい。

アメリカにそれなりに暮らし、人生はじめて現地の知人が逝去して凹んでいる。
ニックネームも顔もワインの注ぎ方も声も思い出せる距離感で、いなくなってしまったのが全く信じられない。

彼女はSuisun Valleyという地域の小規模ワイナリーが複数集うテイスティングルームで、ワインをよく注いでいた。

www.visitfairfieldca.com

過去に乳がんを患って手術をしたという話は聞いていたけど、
そんなことを全く感じさせないパワフルさで、楽しそうにワインを嗜み、
一緒にディナーをするときは、集合する時点ですでに酔い完成しているご機嫌なおばちゃんだった。

彼女の過去の乳がんをきっかけに、あるワイナリーでは乳がん患者とその生存者のための活動協力のために赤ワインが作られていた。
それがLa Ta-Tas。
何語かの、おっぱいという意味らしい。

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複数のブドウがミックスされていて、
しっかりとした酸味とタンニン、果実味ががっつり効いてる。酸味が強いけど、長く熟成させることでジャムみたいな赤ワインだった。

乳がんは過去の話と聞いていたし、体調がたしかに最近優れないという話も聞いていた。
けど、あっという間だった。

彼女を考えると、一緒に思い浮かぶワイン。

亡くなったことがあまりに悲しく、葬儀って何すればいいのという不安があり、
けれど、自分が死んだときに誰かが飲みたくなるワインがあるとしたら、それは素敵かもしれない、とか不謹慎なことを考えて、
憧れたり悲しんだり心が忙しくて焼け切れていきそう。

彼女のこの後の時間が幸せで安らかなものになり、彼女のジャムっぽいワインが世界を優しく感動させることを願ってる。