Hello World from the Vineyard

どこかのだれかの副音声

世界で12人しかいないソムリエを師匠に、ブラインドテイスティング修行していた

これはDeductive Tasting(ブラインドテイスティング) のスキルを向上させるために、 San Francisco Wine School のIntermediate Blind Tastingコースに通った話です。

 

今年の2月にCourt of Master Sommeliers(CMS)というイギリス発祥のソムリエ認定機関のLevel 1(Introductory Sommelier Course & Exam)に合格しました。
そのときの試験の話はこちら。

hatone.hatenadiary.com

 

Deductive Tastingとは

Deductive Tastingは、ラベルが隠されたワインからSight(目視), Nose(嗅覚), Plate(味覚)の3段階でワインの特徴を掴み、

Initial Conclusionでは、香りの組み合わせから考えられる葡萄種を列挙し、酸味・アルコール度数から、ぶどうの畑が冷涼な場所に位置しているのか、Old World(フランス、ドイツなど)なのかNew World(カリフォルニア、オーストラリア)なのか、1-3年程度の若いワインなのか、もっと古いワインなのか可能性を列挙し、

Final Conclusionで、Initial Conclusionの中から1つの葡萄種・産地・年(ヴィンテージ)の答えを導きだしていく。

そんな己の人体センサーと頭脳を使ったクイズみたいなものです。

 

Deductive Tastingへの苦手意識

CMS Lv1の講習の1日目、Deductive Tastingでは1人1人の生徒が持ち回りでそれぞれの項目を回答していく方式でした。私は、Final Conclusion(最終的に1つの葡萄種・産地を当てる)項目であたってしまい、受験生たちの前で大きく目測を外してしまい、そのショックと、なくしものを探して動転して、一晩中一睡も出来ず朝を迎えてしまったということがありました。

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「中程度の酸味・タンニン・アルコールとは、ぶっちゃけなんなんだ?」
「この香りは、なんて表現すればいいのか?」

捉え方がわからなくて、やればやるほど自信を無くしていくループに陥りました。

2月のCOVIT-19がまだ猛威を奮ってない頃、San Franciscoにある新聞社主催のワインイベントがありました。そこでCMS Lv2ホルダーの知人に付き合ってもらって、ひたすらワインを試飲しながら、ワインの色味・香り・酸味・タンニン・アルコールレベルをずっと言い合ってもらいました。

「基礎のテイスティングスキルが、まだ弱い。たぶん」

知人から指摘されて、勉強の仕方を少し変えることにしました。

 

 

San Francisco Wine School

CMS Lv2の知人、そして同僚の奥様(しかも社内のブラインドテイスティングイベントでワインの葡萄種をほぼ正答していた) の2人が、田崎真也先生のワイン教室に通っていた話をきいて、4ヶ月程度一時帰国して、東京に学校へ通うのも真剣に検討しました。

ローカルでのワイン学校に通う友人を作りたい、そんな気持ちから地元の学校も探してみました。そして実はカリキュラムというよりも、San Franciscoと書いてあるのに校舎がSouth San Franciscoにあるワインスクールを発見。


毎週月曜日の夕方6:30から講義があるので、仕事しながらも通いやすいコースでした。(結局COVIT-19のせいで、全てZoomでの講義となり、実際校舎で勉強することはなかったのが悲しかった)

 

めっちゃ面白い経歴の先生

David Glancy氏CMS Lv4とSociety of Wine EducatorsのCertified Wine Educatorの2つの称号を持っている世界で12名しかいないと言われるソムリエの1人です。
CMS Lv4を持っているだけで、知識量と感性の鋭さにおいて人間を辞めていると思っているのですが、そこに加えて激高難易度のCertified Wine Educatorを持っている。職業として、神を名乗ってもいいんじゃないかと思います。

 

どんな講義だったか

序盤は先生が自分で調合したシャルドネ白ワインを用いて、酸・タンニン・アルコール度数・様々なアロマを体験し、感じたことをひたすら言語化していく繰り返しでした。同じ白ワインをベースに、ワインを理解するための要素をずらしたものが用意されるので、「これが違いなのか」と理解しやすかったです。

 

ただ、視覚・嗅覚・味覚で感じた記憶を覚えつづけるのは大変なので、そのためにそれぞれをひたすら言語化する。

 

なんとなく感覚がしっくりくるようになり、言葉として少しずつ表現できるようになった頃から、世界中のワインをサンプルに葡萄の品種の特徴や地域の違いを飲み比べていきました。

 

学校、通ってみて 

「葡萄種、産地の気候、国や村名、年代なんて、そんな本当に当てられるの……?厳しいのでは……」といつも不安でした。
実際、いまでも、自信はないです。

たぶん、そんな不安感を乗りこなしていくんだろうなと思います。

 

といいつつも、最後のCMS Lv2&Lv3向けDeductive Tastingの模試では、

葡萄と国と地域名、当たった。

 

外したのは年代で、2018年と答えたけど、2017年が正解だった。

 

覚える必要がある項目は膨大にあるのですが、感性と頭脳の歯車が噛み合いはじめてる手応えを感じました。むしろ、想像以上。

 

また学校で勉強しはじめて目に見えて変わった変化が、ノートでした。

講義の内容やワインの味のメモが、最初の頃は内容が薄かったけど、後半は結構書かけるようになってました。最初の頃は、自分の脳の英語と日本語のスイッチに時間がかかっていた様子が伺えます。

 

 

このあと、どうしよう

先生曰く、
「実際のワインが手元に無くとも、他の人がテイスティングする際にどんな言葉を用いているか。自分がその言葉から、脳内にどう再構成できるか。また、その人がどんな風に嗅いで、口に含んでいるか。いろいろなところから勉強できるんだ」

とのことなので、ブラインドテイスティングの見稽古も追加していこうかなって思います。San Francisco Wine Schoolの学生のテイスティンググループがあり、Zoom上で隔週開催されているのでリモート参加していきます。 

またCMS Lv2に合格すると、Certified Sommelierとして働けるようになります。レストランで働く予定はいまのところないけれども、門があるとついついくぐりたくなるタイプなので、受験すると思います。いつ試験を受けるかはまだ決めていません。

またワイナリーでの実務年数が一定数超えると、Japan Sommelier Associationのワインエキスパートではなくソムリエの方のトラックを受験できるようなので、そちらも受けてみたいと考えています。

自分の感性を、自分のペースで豊かにしていく日々を過ごしたいな、と。