世界で12人しかいないソムリエを師匠に、ブラインドテイスティング修行していた
これはDeductive Tasting(ブラインドテイスティング) のスキルを向上させるために、 San Francisco Wine School のIntermediate Blind Tastingコースに通った話です。
今年の2月にCourt of Master Sommeliers(CMS)というイギリス発祥のソムリエ認定機関のLevel 1(Introductory Sommelier Course & Exam)に合格しました。
そのときの試験の話はこちら。
Deductive Tastingとは
Deductive Tastingは、ラベルが隠されたワインからSight(目視), Nose(嗅覚), Plate(味覚)の3段階でワインの特徴を掴み、
Initial Conclusionでは、香りの組み合わせから考えられる葡萄種を列挙し、酸味・アルコール度数から、ぶどうの畑が冷涼な場所に位置しているのか、Old World(フランス、ドイツなど)なのかNew World(カリフォルニア、オーストラリア)なのか、1-3年程度の若いワインなのか、もっと古いワインなのか可能性を列挙し、
Final Conclusionで、Initial Conclusionの中から1つの葡萄種・産地・年(ヴィンテージ)の答えを導きだしていく。
そんな己の人体センサーと頭脳を使ったクイズみたいなものです。
Deductive Tastingへの苦手意識
CMS Lv1の講習の1日目、Deductive Tastingでは1人1人の生徒が持ち回りでそれぞれの項目を回答していく方式でした。私は、Final Conclusion(最終的に1つの葡萄種・産地を当てる)項目であたってしまい、受験生たちの前で大きく目測を外してしまい、そのショックと、なくしものを探して動転して、一晩中一睡も出来ず朝を迎えてしまったということがありました。
「中程度の酸味・タンニン・アルコールとは、ぶっちゃけなんなんだ?」
「この香りは、なんて表現すればいいのか?」
捉え方がわからなくて、やればやるほど自信を無くしていくループに陥りました。
2月のCOVIT-19がまだ猛威を奮ってない頃、San Franciscoにある新聞社主催のワインイベントがありました。そこでCMS Lv2ホルダーの知人に付き合ってもらって、ひたすらワインを試飲しながら、ワインの色味・香り・酸味・タンニン・アルコールレベルをずっと言い合ってもらいました。
「基礎のテイスティングスキルが、まだ弱い。たぶん」
知人から指摘されて、勉強の仕方を少し変えることにしました。
San Francisco Wine School
CMS Lv2の知人、そして同僚の奥様(しかも社内のブラインドテイスティングイベントでワインの葡萄種をほぼ正答していた) の2人が、田崎真也先生のワイン教室に通っていた話をきいて、4ヶ月程度一時帰国して、東京に学校へ通うのも真剣に検討しました。
ローカルでのワイン学校に通う友人を作りたい、そんな気持ちから地元の学校も探してみました。そして実はカリキュラムというよりも、San Franciscoと書いてあるのに校舎がSouth San Franciscoにあるワインスクールを発見。
毎週月曜日の夕方6:30から講義があるので、仕事しながらも通いやすいコースでした。(結局COVIT-19のせいで、全てZoomでの講義となり、実際校舎で勉強することはなかったのが悲しかった)
めっちゃ面白い経歴の先生
David Glancy氏はCMS Lv4とSociety of Wine EducatorsのCertified Wine Educatorの2つの称号を持っている世界で12名しかいないと言われるソムリエの1人です。
CMS Lv4を持っているだけで、知識量と感性の鋭さにおいて人間を辞めていると思っているのですが、そこに加えて激高難易度のCertified Wine Educatorを持っている。職業として、神を名乗ってもいいんじゃないかと思います。
どんな講義だったか
序盤は先生が自分で調合したシャルドネ白ワインを用いて、酸・タンニン・アルコール度数・様々なアロマを体験し、感じたことをひたすら言語化していく繰り返しでした。同じ白ワインをベースに、ワインを理解するための要素をずらしたものが用意されるので、「これが違いなのか」と理解しやすかったです。
ただ、視覚・嗅覚・味覚で感じた記憶を覚えつづけるのは大変なので、そのためにそれぞれをひたすら言語化する。
なんとなく感覚がしっくりくるようになり、言葉として少しずつ表現できるようになった頃から、世界中のワインをサンプルに葡萄の品種の特徴や地域の違いを飲み比べていきました。
学校、通ってみて
「葡萄種、産地の気候、国や村名、年代なんて、そんな本当に当てられるの……?厳しいのでは……」といつも不安でした。
実際、いまでも、自信はないです。
たぶん、そんな不安感を乗りこなしていくんだろうなと思います。
といいつつも、最後のCMS Lv2&Lv3向けDeductive Tastingの模試では、
葡萄と国と地域名、当たった。
外したのは年代で、2018年と答えたけど、2017年が正解だった。
覚える必要がある項目は膨大にあるのですが、感性と頭脳の歯車が噛み合いはじめてる手応えを感じました。むしろ、想像以上。
また学校で勉強しはじめて目に見えて変わった変化が、ノートでした。
講義の内容やワインの味のメモが、最初の頃は内容が薄かったけど、後半は結構書かけるようになってました。最初の頃は、自分の脳の英語と日本語のスイッチに時間がかかっていた様子が伺えます。
このあと、どうしよう
先生曰く、
「実際のワインが手元に無くとも、他の人がテイスティングする際にどんな言葉を用いているか。自分がその言葉から、脳内にどう再構成できるか。また、その人がどんな風に嗅いで、口に含んでいるか。いろいろなところから勉強できるんだ」
とのことなので、ブラインドテイスティングの見稽古も追加していこうかなって思います。San Francisco Wine Schoolの学生のテイスティンググループがあり、Zoom上で隔週開催されているのでリモート参加していきます。
またCMS Lv2に合格すると、Certified Sommelierとして働けるようになります。レストランで働く予定はいまのところないけれども、門があるとついついくぐりたくなるタイプなので、受験すると思います。いつ試験を受けるかはまだ決めていません。
またワイナリーでの実務年数が一定数超えると、Japan Sommelier Associationのワインエキスパートではなくソムリエの方のトラックを受験できるようなので、そちらも受けてみたいと考えています。
自分の感性を、自分のペースで豊かにしていく日々を過ごしたいな、と。
Court of Master Sommeliers Level 1に合格した
Court of Master Sommeliers(CMS)というイギリス発祥のソムリエ認定機関のLevel 1(Introductory Sommelier Course & Exam)に合格しました。
全部でLevel 4まであり、Level 2(Certified Sommelier)から正式なソムリエを名乗れるようになります。
SOMMというドキュメンタリー
Somm Official Trailer 1 (2013) - Wine Documentary HD
CMSのLevel 4(Master Of Sommrier)は世界で269人しかいません。
Netflixで"SOMM"というCMS Level3(Advanced Sommelier)を持つ4人の若者が、Level 4合格を目指した試験前3週間のドキュメンタリーが壮絶で個人的におすすめです。
CMS Level1の受験の話
CMS Level1の合格率はさほど低くないのですが、専門外の人間が受験するには試験科目範囲が広く、英語で試験を受けることそのものが人生初めてになるので一発合格する自信がなく、プレッシャーで自分が潰れかけたので、自ワイナリーのメンバーや両親にも話していませんでした。
試験自体がすごい荘厳な雰囲気の中で行われ、良い人生経験となったのですが、忘れないうちに試験対策の記憶を書き残しておこうと思いました。
CMS Level1は2daysコースで1,2日目でテイスティング込みの講習があり、2日目の最後にペーパーテストがあります。
講習の中で、写真のようなワインのブラインドテイスティングが赤2種白2種の4グラス x 6フライトあります(合計24グラス)。
試験範囲は、ブドウ栽培・ワイン醸造・オールドワールド(フランス・イタリア・ドイツ・オーストラリア・スペイン・ポルトガル)・ニューワールド(アメリカ・チリ・アルゼンチン・南アフリカ・オーストラリア・ニュージーランド)。そして、酒精強化ワイン・スイートワイン・ビール・日本酒・サイダー・ウイスキー・テキーラ・ジン・ウォッカ・カクテル系・さらにフードペアリング。多い。
「講習会オンリーで試験に臨むと、普通に落ちる」と事前評判があり、実際に当日の講義はエグい速さで進むので、予習&試験対策が必須でした。
(隣の座席のお姉さんが、講義の速さにFワードを連呼してて、殺伐して怖かった……)
4択問題70問で、合格ラインが60%です。
ウイスキーが得意科目になっていることに後で気が付きました。
試験勉強の話
受験勉強でお世話になった教材は、この4つ
- Introductionary Sommelier Course Workbook
- GUILDSOMMの動画 & App
- Windows on The World Compete Wine Course
- Wine Folly
Introductionary Sommelier Course Workbook(標準の教科書)
各章毎を読みながら、章末問題を解いたノート作って、フラッシュカードをもそもそと作りました。いざ教科書を読もうとしたら、知らない英単語が結構あり、読み進めていくのが辛かった。わからない単語は下線を引いて、さくっとある程度読み進めて、あとから単語を一気に辞書で引く。時間があるとき or 単語がわからないと進められないときは、都度単語を調べる。みたいなノリで読破しました。特にフランス・ドイツあたりは、英語がわからないというより、フランス語とドイツ語が読めないみたいな難解さでした。
GUILDSOMMの動画
guildsomm.comというCMSの受験対策や昨今のワイン事情など載っているコミュニティサービスがあり、CMSの受験生は年間$50で入会出来ます。教科書で学んだ章に関連する動画を、お風呂や風呂上がりに延々と観まくりました。「教科書でうっすら読むことは出来るけど、発音が一切わからない地名」みたいなのは、動画や音声が救ってくれます。
GUILDSOMMのApp
このGUILDSOMMにはアプリがあり、そこで試験の擬似問題を延々と解くことが出来ます。
合格ラインへなかなか届かず、普通に病みました。
Windows on The World Compete Wine Course
教科書と内容はかぶっているのですが、情報のまとめ方の切り口が異なっていたり、章末問題が充実していたので、こちらの本もお世話になりました。教科書で3日前に勉強した内容を、この本で復習していくスタイルになってました。巻末に、英独仏語をすべて横断したワイン関連の辞書がついているので、教科書の謎単語を調べる際にもお世話になりました。携帯で調べようとした際に、Gewürztraminerの'ü'の入力方法がわからない問題みたいなのがあり、「ああ、紙の辞書は便利ー……」って思いました。
Wine Folly
資格を目指さなくてもおすすめの一冊。表紙がかっこいい。「ワインのこと、ざっくり知りたければ、どの本が良いか?」というとWine Follyがおすすめです。インフォグラフィックスが充実しており、寝る前や勉強に疲れたときに読んでました。
猛勉強というものを久しぶりにしました。
Level 2も受けようと思う。
CMS Level1は、ノリと勢いで出願したけど、難易度的にはレストランのアルコールのサービス部門で働いて3年程度推奨と知ったのは受験4日前でした。
布団に入る度に頭の中で "Gevrey-Chambertinは、どの地域でどの葡萄か?"、"Chaptalizationは、なにか?"、"1800年後期に葡萄畑を壊滅に追い込んだ病の名前は?"など脳内で繰り返すようになり、答えを思い出せなかったり疑問が湧くと、起き上がって教科書を読む……を繰り返してしまい、寝ることに失敗した日が何度かありました。
CMS Level1合格から3年間は、Level2(Certified Sommelier)の受験資格があります。
次のピンバッジを目指して、元気が戻ったら、また道を歩みはじめてみようと思います。
2019年のわたしのはなし
女の大厄とも言われる厄年だった。
御祓出来る場所が近所にあるとも思えないし、役者は敢えて厄祓いしないことで芸の肥やしにすると聞いたことがあったので、なんとなく厄祓いをしないことにした。
今だから書けるあの頃の話みたいな書きなぐり。ゆるくだるく2019を振り返ってみます。
2018年12月
2019年を語るのに欠かせないのが、この12月の出来事。
12月18日に、函館の広報誌のステップアップさんから連載コラムのお話をいただいた。この日から、タイトルや構成をずっと考えるようになった。
1月
新年の挨拶とともに、ネコを支える技術の電子書籍版をリリースした。
ラスベガスへ行ってきた。ホテルもどのレストランも素敵だった。
連載コラムのスケジュールが決まった連絡がきて、6ヶ月間毎月締め切りがある生活に少しだけドキドキした。
2月
"オープンカーが欲しい"
そんなことを考えながら会社でビールを飲んでる金曜日に、車好きの同僚3人衆がCarGurusでこの子をみつけてくれた。
酔った勢いで、試乗をWebから申し込んだのが2月1日。試乗したのが2月6日。
ちょっとでも合わないと思ったら諦めようとか試乗するまでは考えていたものの、実物を瞬間に惚れ、試乗の最中は支払いをローンにしようか現金払いにしようか考えてた。
翌週の2月12日、私の小切手と引き換えに、青いロードスターがやってきた。
サンフランシスコキャリアフォーラムで、エンジニアのキャリアのパネルディスカッションに登壇した。
3月
寄稿した。
土曜日のある朝、突然思い立って、1年半伸ばしてワンレングスにしていた前髪をバッサリ切っていた。最初は、鏡の自分に少ししっくりこなかったけど、慣れたらやっぱり前髪あった方が良い気がした。
ナパのアウトレットモールにて、見た瞬間に買う意思決定をして、値札も見ずに買ったら60% offで驚異の安さだったショルダーバッグ。
日本とアメリカに分かれて研修旅行している学校の報告会のお手伝いをした。このとき学生さんと「やりたい職種がインターネット上では低賃金と言われて、夢として抱いちゃいけないのか」という話になり、見知ってるものだけが仕事ではない。どうしてその職につきたかったのか気持ちを分解すること、職種を知ることで、業種の賃金を向上させる糸口を見いだせるかもみたいな話をした。
そしてこの帰り道、ずっとこのことを考えていた。
4月
海外コラムの第1回目の締め切りがついにやってきた。タイトルは4ヶ月くらい悩んでいた。
自分の軸がワインとエンジニアだったので、"Hello World from the Vineyard"という言葉が、ぼんやり浮かんでた。
そこから「ぶどう畑でハローワールド」になった。
異文化な職場とかエンジニアとして働くこと、この頃より前からワイナリーの件を計画していたこと、そんな背景から小中高校へも配られるにも関わらす、ワインの話が無駄に多いコラムが書き上がった。
Women Who Codeのカンファレンスのブースのお手伝いをした。このとき、いろいろなことを考えてたけど、CFPしっかり出していこうってモチベーションが上がった。
次のワインをどんな配合にするか会議。
バリでバリバリ遊んだ。
サンフランシスコから香港・シンガポールと経由して移動した。何もかもが楽しい旅行だった。
5月
連載コラム第一回目の印刷レイアウトが上がってきて、ワクワクした。当初「ぶどう畑でハローワールド」だったタイトルは、印刷レイアウトの印象から「葡萄畑でHello World」へ変更になった。
巨大ブラウンとの同棲生活がはじまった。でかいかわいい。deploygateのイベントで余市ウイスキーを頂いて気に入り、アイラウイスキー以外も飲むようになった。
会社のランチ史上一番美味しかったといっても過言ではない。サーモンエッグベネディクト。
これ以降、たまにエッグベネディクトを食べたくなるようになった。
はじめてワイナリーの中の人として、屋外のイベントでワインをサーブした。
後に、「2019年これは買わなくてよかったもの」にランクインすることになるお風呂。メンテナンスが結構大変でお風呂に入る頻度が減ってしまった。この数カ月後、普段使ってたサイズのお風呂を買い直した。
会社を休んで、ワインのボトリングをした日。樽から組み上げられる熟成済みのワインの香りが一面に広がっていて、ワインの香水があればいいのになんて考えながら、ワインのダンボールにラベルを貼る作業を延々と延々と延年とやった。
6月
生牡蠣とスパークリングワインの実質食べ飲み放題のイベントが最高だった。
会社でまさかのラーメンが出た日。
この日、前職の海外事業部で一緒に仕事したとき、英語ペラペラで憧れていた女性の先輩が、何故かUSのうちのオフィスに車椅子姿で現れて、意味がわからなかった。US出張中に骨折してしまったらしい。
「英語、めっちゃうまくなったね」と言われたのがすごく嬉しかった。
7月
生きることに対するスランプのようなものが発生して、何も書けなくなってしまった。毎日快晴な青空が無性に苦しくて、土地から逃げ出したくなった。そんなタイミングで、紙面上で夏休み向けイベントの告知や広告スペースが必要になり、連載コラム第3回目の原稿の締め切りが一ヶ月ほど伸びた。
大好きなガラス作家である湊 久仁子先生がポートランドで酒器と日本酒のイベントをやるということで、文字ポートランドへ通り飛んでいった。一目惚れした花瓶とグラスをお迎えした。
行きの飛行機で唯川 恵の燃えつきるまでを読みはじめてしまい、なんとなく空港発の電車に乗ってから読了するまで下車しないとか、そういうことをしていた。
ポートランド旅から戻ってからは、
Crescent Moonのキャップ付け作業を延々と延々と延々とやったり
倉庫で寝落ちしたりした。
この頃、白州ハイボールの美味さに突然覚醒した。
8月
渋谷区の中学生生徒さん向けに、デザイン思考とProttを使ったアプリプロトタイピングワークショップをやった。毎年この企画と反省会が本当に面白い。
GoodTryJapanさんの世界で自分の将来を考える旅の中で、シリコンバレーの歴史や自分のキャリアのお話をしてきた。
ローカル企業のオフサイトイベントで、ワインをサーブしたり売ったりした。
9月
第四回目はウイスキーにまつわる話を書こうとしていた。というか、実は書き上げてた。けど締め切りの2日前に、さらなるネタが浮かんでしまい、「やっぱり内容変えよう」となった。そこから一気に全部書き直した。そんなドッタンバッタンな裏側であった。
前半は様々な友人が遊びに来て、にぎやかな感じだった。
カラフルな写真を撮り集めるのがライフワークっぽくなっていて、このキャピトラビーチはずっと来たかった場所。
Joseph Phelps VineyardsのInsigniaがあまりにも美味しすぎて、「このワインの味を知る不幸と知らない不幸どちらがよいか?」トークが発生した。
あのとき、Insigniaを買わなかったことをだいぶ後悔した。
この頃、ワイナリーを買うための契約書や支払いを準備のピークだった。
そこそこいっぱいいっぱいな状態で生きてるが、どこかで発散させたい。というか飲まないとやってられない。そんな衝動から、公園の滑り台で夜中に酒が飲みたくなり、東京へいった。
ポートエレンを求めて都内を彷徨ったりもした。
秋だし、人生一度でいいから七輪で焼いた秋刀魚というものを食べてみたかった。しかし、備長炭は本当に火起こしが大変だった。
平日昼間のランチに、Kenzo
誕生日は、みんなでドレスアップして、リムジンに炊飯器を持ち込んで、イクラ丼を食べてドンペリを飲むというという、言葉では言い表し難い笑いの祭典だった。このときは、本当に駆けつけてくださった友人の皆様ありがとうございます。中目黒の自宅から駅まで炊いた炊飯器を運ぶのは、相当重かったはず。
この日、親しい友人たちにワイナリーの購入をやっと報告できた。
数日後、ワイナリー購入のために切った小切手の引き落としがトラブっていたことが判明し、日本から電話でお金を送金する作業をめちゃくちゃ頑張った。心臓に悪かった。
10月
今年の収穫は、実は日本にいたため参加できず。発酵を終えた葡萄を絞る作業から参加した。この絞るときの空気の香りも本当に大好きだった。
神の雫の作者である亜樹直姉弟が参加するワインイベントをひょんなきっかけから知り参加した。東京ワイン会ピープルという小説が好きで、その作者と知って、心がぴょんぴょんしていた。
このときに作り手である自分という自我のような感覚が、数年ぶりに帰ってきたようなそんな感覚を覚えた。
今年2回目のポートランド旅行。前回行った際は、心の調子があまりよくなかったのと、美味しいオレゴンワインに出会えなかったけど、今回はちゃんと出会えた。
Sokol Blosser Wineryのピノ・ノワールは全体的に美味しかったし、Domaine Serene Wineryのシャルドネは、以前飲んだKistler Vineyardsのシャルドネのような方向性と芳香性でよかった。
ハロウィン前日。フリーウェイを120km/hくらいで走行中に、車のタイヤが破裂して車軸に絡まり、ブレーキもハンドルも片側だけ効かなくなる状況でガードレールにぶつかりかけた。死ぬかと思ったし、今でも「あ、ブレーキ効かない…」と理解した後から停車するまでの記憶が本当に飛んでいる。人間の脳って本気で記憶喪失できるのかと感動した。
はじめてレッカーを呼んで救助されたり、車を修理した。修理で済んでよかった。
この段階で、連載が第五回目まできた。この回はオープンカーの話で、原稿書き上げたときは、まさかあのとき事故るなんて予想もしていなかった。
11月
うちの葡萄畑と愛車。
第六回目という最終回の原稿を無事提出できた。
思い返せば、連載のお話をいただいてから、「そうだ、あの話も書いてみよう」とかそういうことばかり考えていたので、終わるのが一気に寂しくなったりもした。あと、連載終わった後にできた時間で何をしよう?とかも考えていた。
連載終わった後に出来た時間の使い道はわりと杞憂に終わって、無事あの原稿が印刷されて世に出た2日後、SUNSET CELLARSの共同オーナーになったことを情報解禁した。
正直、不安でいっぱいだった。
様々なオペレーションのタスクが増えていった。
サンクスギビングデーは、豪華で楽しかった。
9月に購入を見送ってずっと後悔していたInsigniaを、今度こそ買った。
12月
同僚たちといったハワイ旅行が、心の底から本当に楽しかった。あまりに楽しすぎたせいで、帰りの飛行機を一旦キャンセルして、予定よりも1日多く滞在してしまったくらい楽しかった。どうでもよいことまで、全て楽しかった。
アドベントカレンダーを書いた。
CELINEのトラペーズをお迎えした。
ブルベ冬の人間としては、シルバーの金具の鞄がよくて、タイミングよく出会えてよかった。この鞄に似合う人間として生きていきたい。
特にまとめるものもないけれども、だいたい毎月原稿の締め切りがある生活の中で、ワイナリーの準備しつつ仕事をして、旅行へも出かけて、しっかり遊び、美味しいお酒と出会う。我ながらよく出来た人生だったんじゃないかと思う。
「よくがんばりましたね」って言われたい日々だった。
2019年買ってよかったものはスポーツカーとワイナリー。(言ってみたかった)
2020年
ありがたいことに面白そうなワークショップやパネルディスカッション登壇のお話を頂いていて、ホームランを出せるように精進し続ける所存です。
来年個人的にやりたいこと、それは胸のうちにもう少し保管しておきます。
エンジニアもワイナリーの運営も何もかも、どれ1つも後悔したくないから、全力投球し続けそうです。
知ることによる不幸と知らないことによる不幸はどちらが幸せなのか?
あまりに美味しいワインを飲んで味を知ってしまったとき、
そのワインボトルは既に開栓されているから、二度と同じ味には出会えない。
他のワインを飲んでも、その味を思い出してしまうかもしれない。
知らずにいれば、思い出さずに済むので幸せかもしれない。
みたいな話を、
$300周辺の価格帯のワインをいくつかテイスティングしながら話した。
知ることによる不幸の方が日々に色彩を与えてくれる気がして、私の性格には合っていそう。 幸福かどうかわからないけど、そう在ろうと努めることは全然出来ると思う。
Hefeweizenの危険な季節
ビールの中で一番好きなものはどれか?と聞かれると、白ビールと答える気がする。
ビールを飲める場所にいくと、だいたいHefeweizenを見つけてはオーダーしている。
それがなければラガーのなにか。
その次に、サイダー。
暑い日差しの下、休憩がてらにHefeweizenビールを飲んでいると、
こんな話を耳にした。
「Hefeweizenを作る過程の酵母は、ワインにとっては危険な存在。だから、ワイン仕込み前にはビール醸造所いったりするのは気をつけたほうがいいらしいよ」
まだどの酵母がいけないのか、なぜ行けないのは調べていない。
ただ、好きなビールを飲みに行くのを自重したほうが良さそうな季節の存在を学んだ。
Wine bottle capsule shrinker
ワインの購入を迷ったとき、キャップにシワやキズついてるものを買うようにしている。
生産数が多いものは全て機械で自動化出来るけど、
一本ずつ手作業していて、それで済む小規模生産ワインも意外とワイン屋に出回っている。
キズやシワなど個性が出るボトルは、きっと手作業で作られた小ロットワインなのかもしれないみたいな気持ちから、そういうのをよく狙っていたりする。
コルクがされたワインボトルのキャップをはめ込む機械は、筒の中で無数あるローラーが高速回転しながら鉄製のキャップをガラス瓶に押し付けて固定していくタイプ。
このローラーが、使えば使うほど歪んでいき、機械にクセが出てくるよう。
私が最初使っていたシュリンカーは、3回に分けて緩やかに固定していかないと、すぐにキャップがズタボロになりがちだった。
この週末に訪れて作業しようとしたら、
修理代より新品が安かったという事情で新しいやつがきていた。
新しいシュリンカーは、回数を分けずとも、さくっと綺麗に固定されてくれて使い心地が気持ちよかった。
でも相変わらずシワはちょっとだけ出来ることもあったり。
でも、確実に新しいシュリンカーのおかげで、キャップをはめる速度が3倍くらいになった。
Zinfandel
5月頃はZinfandelの葡萄の花が散って、実り始めていた。
2ヶ月経って、赤ワイン用の葡萄っぽくなってきた。
葡萄の種が、全体的に茶色になった頃が収穫のタイミングと聞いている。多分きっと9月。